網膜硝子体
網膜硝子体とは目の奥の網膜という組織と眼球内にある硝子体というゼリー状の物質のことです。網膜硝子体の病気には網膜剥離(図1)や糖尿病網膜症、黄斑上膜(黄斑上膜)、黄斑円孔、加齢黄斑変性症などがあります。 黄斑というのは網膜の中心となる部分の名称で(図2)、ヒトの視力にとって最も大切な場所です。
そのような網膜や硝子体、あるいは黄斑部の病気では日常生活に大切な視力に大きな障害を起こす可能性があり、 適切な治療を行わなければ、或いは行っても、その障害からの回復は非常に困難となる場合があります。
網膜剥離などでは一両日中の緊急の対応が必要な状況もあり得ます。このような病状の患者さんにとってより良い、最善の医療機関となることが私たちの目標です。
網膜硝子体手術に白内障手術を同時に併用することは国内ではごく一般的な術式であり当院でも多くの硝子体手術が白内障との同時手術です。白内障のみの単独手術も多く実施しております。また、緑内障についても当院にて緑内障専門医の診断と手術を行なっております。
更に、網膜硝子体の病気は十分な治療にも関わらず残念ながら満足のいく視力に回復しないこともあり得ます。見えにくさから日常の生活に不便を感じる方々に適切なアドバイスを行いながらその方が社会活動に積極的に関わっていく、 或いは日々の生活をより豊かにするお手伝いとなるロービジョンケアも同時に推進します。
網膜硝子体手術が適用となる疾患
糖尿病網膜症 | 網膜剥離 |
黄斑円孔 | 黄斑上膜 |
ぶどう膜炎 | 網膜静脈分枝閉塞症 |
硝子体出血 | 硝子体混濁 |
網膜硝子体疾患の手術について
網膜硝子体手術は、その歴史を通じて進化し、現代では高度な技術と機器を使って行います。近年では高解像度の映像技術やロボット支援手術などの革新的な機器が導入され、手術の精度と成功率が向上しました。これにより、より複雑な網膜硝子体手術が実現し、視力の喪失を防ぐための選択肢が増えています。
この手術では、眼球に1mm以下の小さな穴を3ないし4ヶ所あけカニューラを挿入します。1箇所から灌流液を入れ、残りの箇所から眼内を照らす照明器具や硝子体カッターを挿入します。 その後、硝子体カッターを使い、超音波や振動を利用して硝子体を断裂させ、小さな断片に分解し、これらの断片を吸引除去します。手術時間は、症例により異なりますが約20分から1時間で終了します。